はじめに少しだけ補足を。汝矣島(여의도 / ヨイド)は、ソウルの中心を流れる漢江(한강 / ハンガン)に浮かぶ島で、国会議事堂と金融街があります。汝矣島ブライトン図書館(여의도 브라이튼 도서관)は、「ブライトン汝矣島(브라이튼 여의도)」という建物の地下1階にある、永登浦区立の図書館です。出入りは誰でも自由ですが、本の貸出には図書館カードが必要で、ソウルに住んでいる人、またはソウルの学校や職場に通っている人が登録できます。
ソファで子どもが眠っていました。そばに座った大人が、その子の背中にそっと手を添えていて、少し離れた椅子では誰かが絵本を開いていました。誰も急いでいません。汝矣島ブライトン図書館の子どもラウンジ(어린이라운지)で見た光景です。

図書館はこんなにくつろげる場所でもあるのだと思いました。息をひそめてページをめくる図書館ではなく、大切な人と並んで座り、ひと休みしていく図書館。
汝矣島はソウルの政治と金融が集まる場所です。国会議事堂があり、証券会社や銀行が並び、その間をまっすぐな大通りが延びています。何でもそろっているように見える街なのに、長いあいだ足りないものがひとつありました。子どもの手を引いて気軽に立ち寄り、本を数冊借りて帰れる、近所の図書館。
汝矣島にも図書館はありました。国会図書館です。ただ、そこは誰もが気軽に出入りして本を借りられる、近所の図書館ではありませんでした。だからブライトン図書館が開いたと聞いて、とてもうれしくなりました。ソウル市のニュースサイトは、ここを1971年の汝矣島総合開発計画以来、55年ぶりに汝矣島に初めてできた公共文化施設と紹介しています。
何度か足を運びました。土曜の午後にも、平日の夜にも。行くたびに、家族と、あるいは大切な人と、穏やかな時間を過ごしている人たちがいました。

入口に庭がある図書館
住所は地下1階ですが、実際に行ってみると地下という感じはしません。高層の建物のあいだに、すっぽり沈み込んだ庭があり、図書館の扉はその庭に向かって開いています。池では水が噴き上がり、木々がほどよく深い木陰をつくっています。都会のど真ん中なのに、まず耳に入るのは水の音です。

これだけ庭が整っているので、本を借りたらわざわざ遠くへ行く必要はありません。入口の池のほとりに座って、最初のページを開いてもいいのです。ビルのあいだで水の音を聞きながら読む本は、同じ本でも少し違って読めます。
扉を開けると、書店のような図書館

入ってすぐに思ったのは「きれい」ということでした。床は光り、書架は木で、ソファは柔らかなピンク色です。通路に沿って緑の植え込みが長く続きます。図書館というより、よく整えた書店に入ったような気分です。「汝矣島にふさわしい図書館」という言葉が、自然と浮かびます。
広さもあります。専用面積は3,488㎡(約1,055坪)で、すべての施設が1つのフロアにまとまり、間仕切りなしで見渡せます。階段の上り下りがないので、ベビーカーや車いすでも動きやすいです。
本も多く、種類もさまざまです。何より本がどれもきれいです。だから借りるときから気分がいいのです。誰かが先に読んだ本を借りることが、こんなにさっぱりした体験になるとは、ここで知りました。
書架の上では、LEDの帯に沿って一文がゆっくり流れていきます。ジェーン・オースティン『高慢と偏見』の一節です。
When I have a house of my own, I shall be miserable if I have not an excellent library.
自分の家を持ったとき、すばらしい書斎がなかったら、私はとてもみじめでしょう。

勉強しに来る人も多いです。平日の夜でしたが、長いテーブルごとにノートパソコンと本を広げた人が座っていました。勉強しやすく整っているので、ここはいつも人が多いです。図書館カードがあれば、ノートパソコンを無料で借りて使うこともできます(1回180分)。
図書館の中のブックカフェ

図書館の中にはブックカフェもあります。コーヒーとデザートを出す「CAFE B」です。書架のあいだを歩いて、ちょっとひと休みするのにいいです。ただし、子ども資料室(어린이자료실)の入口には「資料室内は飲食物(水を含む)の持ち込み不可」という案内が貼られているので、飲み物を持って資料室に入るのはやめましょう。
子どもの手を引いて来られる図書館
この図書館が本当に気に入ったのは、ここからでした。子どもを連れて来る人のことを考えた工夫が、あちこちにあります。

ベビーカーを置いておく場所が、床にいくつも区切られています。授乳室があり、天井の案内表示ごとに授乳室の方向が書かれています。施設はすべて1つのフロアにあるので、ベビーカーを押して回るのも楽です。

壁に貼られた案内の紙が一枚、この図書館が誰を待っているのかを教えてくれます。
子ども資料室と幼児資料室

子ども資料室は幼児と小学生のための空間です。子どもと一緒に来ていない大人は、一般資料室を利用してほしいという案内が貼られています。子どもたちが大人の目を気にせず思い切り本を選べるように、空間をまるごと子どもたちに譲ったようなものです。

それより幼い子どものための幼児資料室も別にあります。テーブルも椅子も子どもの背丈に合わせて低く、壁には大きな絵が描かれています。入った瞬間、絵本の中に迷い込んだような気持ちになります。
子ども向けの英語の本が多い場所

ほかの図書館と違う点がもうひとつあります。子ども向けの英語の本が多いのです。最初にお話しした子どもラウンジの書架にも「英語の原書」(영어 원서)の案内が貼られています。だから英語圏の家族が子どもと一緒に来ても、楽しく過ごせます。旅行中でもソウルに住んでいても、子どもが慣れ親しんだ言語の絵本を開ける公共図書館は、思うよりずっと貴重です。
英語キッズカフェ — 本もあり、遊びもある

そして英語キッズカフェ。永登浦区が運営する英語キッズカフェが図書館の中にあり、ソウル市はここを「ソウル市初の英語キッズカフェ」と紹介しました。本があるだけの場所ではありません。子どもたちは網のトンネルをよじ登り、すべり台をすべり、床には星形のクッションが転がっています。遊んで、読んで、また遊ぶ。ソウル市のニュースによると、ネイティブの先生と遊びながら英語に触れ、料理体験・ごっこ遊び・ブックプレイグラウンド(책놀이터)のような空間もあるそうです。
うちの子が小さいころ、ここがあったらよかったのに
見て回るあいだ、ずっと頭を離れなかったことがあります。うちの子が小さいころ、ここがあったらよかったのに。
ベビーカーを押してきて、子どもはキッズカフェで遊ばせ、授乳室でしばらく息をつき、帰りに絵本を何冊か借りて出たでしょう。そんな午後が、何度かはあったはずです。
うらやましくて、少し悔しくもありました。子どもたちはもうすっかり大きくなり、あの時期は二度と戻ってきません。だから今、小さな子どもを育てている家族にどうしても伝えたいのです。こんな場所がある、と。
本を1冊持って、また外へ

天気がよければ外に出るのもいいです。ブライトンの建物には、おいしいお店やカフェが集まっています。スターバックスをはじめ、いくつものカフェやレストランが広場を囲んでいます。本を借りて外に出て、コーヒーを1杯持って広場の階段に座れば、それだけで贅沢な時間になります。
コンビニも充実しているので、おやつを買って出てきて、食べながら読むのもいいでしょう。涼しい風に吹かれながら、大切な人と並んでページをめくる午後。汝矣島でこんな時間を過ごせるとは、以前は思いもしませんでした。
夜になると、庭に明かりがともる
平日の夜にもう一度行ったときは、日が暮れたあとでした。庭のあちこちに明かりがともっていました。木の根元を照らす光、噴水に当たって散らばる光。昼に見る庭とは、また違う顔です。


平日は夜10時まで開いています。仕事帰りに立ち寄って、1〜2時間本を読んで帰るのにもいいです。

いろいろな図書館に行ってみましたが
勉強や読書をしに行くだけでなくてもいいのです。大切な人と、家族と、穏やかな時間を過ごしに行ってもいい場所です。子どもはキッズカフェで遊び、大人は書架のあいだを歩き、帰りには庭でコーヒーを1杯。ソファで眠る子どものそばにいたあの大人のように、誰かのそばにただ静かに座って帰ってきてもいいのです。
いろいろな図書館に行ってみましたが、汝矣島ブライトン図書館は、いちばんきれいで美しい場所でした。おすすめです。
ジェーン・オースティンの一節は、すばらしい書斎のない家はみじめだと言っています。ここに来て思いました。良い書斎とは結局、大切な人と穏やかに過ごせる場所のことではないか、と。
アクセスと利用情報
汝矣島ブライトン図書館
| 正式名称 | 永登浦区立 汝矣島ブライトン図書館(영등포구립 여의도브라이튼도서관) |
| 住所 | ソウル市永登浦区国際金融路39、地下1階(ブライトン汝矣島) |
| 開館時間 | 火〜金 09:00〜22:00(子ども・幼児資料室は09:00〜18:00)/土・日 09:00〜17:00 |
| 休館日 | 毎週月曜日、法定祝日 |
| スペース | 一般資料室、子ども資料室、幼児資料室、英語資料室、子どもラウンジ、英語キッズカフェ、ブックカフェ、コミュニティホール |
| 規模 | 専用面積3,488㎡、すべての施設が1つのフロア |
| 利用 | 図書館カードがなくても入館と基本的な利用が可能。貸出などは図書館カードが必要 |
| 会員登録 | ソウル市民、またはソウルの学校・職場に通っている人 |
| 設備 | 授乳室、ベビーカー・キックボード置き場、ブックカフェ(CAFE B)、ノートパソコン無料貸出(会員、1回180分) |
| 知っておくこと | 資料室内は飲食物(水を含む)の持ち込み不可 ・ 子ども資料室は幼児・小学生の空間(中学生以上は一般資料室) |
| 最寄り駅 | 地下鉄5号線 汝矣ナル駅(여의나루역)4番出口から約455m |
| お問い合わせ | +82-2-2125-4400 |
永登浦区英語キッズカフェ
| 場所 | 汝矣島ブライトン図書館の中 |
| 対象 | 0〜6歳(その年の西暦から生まれ年を引いた年齢) |
| 予約 | ウリドンネ・キウム・ポータル(우리동네키움포털) |
| 料金 | 乳幼児1人3,000ウォン(現地でのカード決済のみ) |
| 利用時間 | 平日3回、週末4回の時間枠から選択 |
| 団体利用 | 平日のみ |
開館時間とキッズカフェの料金は、永登浦文化財団(영등포문화재단)の図書館案内ページと、ソウル市のニュース記事(「내 손안에 서울」=「手のひらのソウル」、2026年4月)に基づいています。変わることがあるので、お出かけ前にもう一度ご確認ください。
👉 永登浦文化財団・汝矣島ブライトン図書館(韓国語) ・ ソウル市「내 손안에 서울」・ソウル初の英語キッズカフェを備えた汝矣島ブライトン図書館(韓国語)
よくある質問
Q. 汝矣島ブライトン図書館の開館時間は?
火曜から金曜は09:00〜22:00です。子ども・幼児資料室は09:00〜18:00、土・日曜は09:00〜17:00です。
Q. 休館日はいつですか?
毎週月曜日と法定祝日が休みです。
Q. 誰でも入って利用できますか?
はい。図書館カードがなくても、入館と基本的な利用はできます。本を借りるなど一部のサービスには、図書館カードが必要です。
Q. 本を借りるにはどうすればいいですか?
図書館カードが必要です。ソウルに住んでいる人、またはソウルの学校や職場に通っている人が登録できます。永登浦区立図書館に登録したあと、図書館のデスクでその場でカードを発行してもらえます。
Q. 英語キッズカフェはどうやって利用しますか?
ウリドンネ・キウム・ポータル(우리동네키움포털)で予約します。対象は0〜6歳(その年の西暦から生まれ年を引いた年齢)で、乳幼児1人3,000ウォン、支払いは現地でのカード決済のみです。平日3回、週末4回の時間枠から選びます。
Q. ベビーカーを持って行っても大丈夫ですか? 授乳室はありますか?
はい。授乳室があり、床には「ベビーカーはこちらに」(유아차는 여기에)と表示された、ベビーカーやキックボードの置き場もあります。施設はすべて1つのフロアにあるので、ベビーカーでも動きやすいです。
Q. 子ども資料室に大人は入れますか?
子ども資料室は幼児と小学生のための空間です。子どもと一緒であれば入れます。子どもを連れていない大人と中学生以上は、一般資料室を利用してほしいという案内があります。
Q. 英語の本は多いですか?
英語資料室が別にあり、特に子ども向けの英語の本が多いです。子どもラウンジの書架にも英語の原書が並んでいるので、英語圏の家族が子どもと一緒に来ても楽しく過ごせます。
Q. 図書館の中でコーヒーを飲めますか?
図書館の中にブックカフェ「CAFE B」があります。ただし、資料室の中には水を含む飲食物を持ち込めないという案内があります。
Q. 勉強しに行ってもいいですか?
はい。さまざまな形の閲覧席があちこちにあり、ノートパソコンを持ち込んで勉強する人が多いです。図書館カードがあれば、ノートパソコンを無料で借りることもできます(1回180分)。いつも人が多めです。
Q. 近くにカフェや食事できる場所はありますか?
図書館があるブライトンの建物に、カフェやレストラン、コンビニがそろっています。本を借りて、コーヒーを片手に目の前の庭で読むのもおすすめです。
Q. いちばん近い地下鉄の駅は?
地下鉄5号線の汝矣ナル駅(여의나루역)です。4番出口から約455mです。
ひとことで
大切な人と並んで座り、ひと休みしていく図書館。勉強しに行っても、子どもの手を引いて行っても、コーヒーを片手に庭を歩いてもいい場所です。